イジワルな彼は私を溺愛しています ②
「そうか……。なら良かった」

父の顔は明るい。

「良くないですね」

しかし、萩原さんからの予想外の一言。

「え?」

「このままでは有紀様に限界がきます」

「萩原さんの言う通りです」

いつの間にか和海が入ってきていた。

「失礼しています」

「いや、構わない。それで、有紀の限界とはなんだ?」

「有紀は夜中に仕事をして、学校で寝るという生活を送っています」

父の目が私を捉えた。

「健康に悪いな。高校生活としては最悪だ」

自分でも自覚している。

「成績は?」

「トップ。一応、試験前は三日間仕事を休みにしてもらっているから」

テスト三日前に勉強して1位を取っている私は真面目に勉強している人にとっては憎い奴だろう。

「なら良い。但し、これから有紀は週2日は休み。萩原さんも雇用を増やして有紀の負担を減らすこと」

「分かりました」

萩原さんはハキハキと答えた。

和海も満足そうだ。
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