イジワルな彼は私を溺愛しています ②
「おい」
ぞっとする声が聞こえた。
ゆっくりと首を動かすと怒っている和海が見える。
「いい加減にしろ」
「っ……」
和海の声は冷たい。
「自分の体くらい自分で管理しろ。それが出来ないなら仕事をするな」
何も言い返せない。
俯いて、下唇を強く噛んだ。
「心配する側にもなってみろ」
和海はそう言い残して書斎から出ていった。
一気に後悔の念が襲ってくる。
自分勝手にやって心配かけて。和海が怒るのも当然の事だ。
私が和海の立場だったら愛想を尽かすかもしれない。
「どうする?」
父が言った。
「………週2日の休みでいい」
「分かった。萩原さんも頼むな」
「はい」
萩原さんは一礼して書斎を出ていく。
私もいつまでもここにいるのはおかしいと思い、書斎を出た。