イジワルな彼は私を溺愛しています ②
コンコン

ノックの音がした。

このタイミングだと有紀だろう。

もう一度おさらいをしてから息を吐く。

「どうぞ」

入ってきた有紀は萎れていた。

抱きしめたいが我慢だ。

だが、今有紀の声を聞いたらさっきまでの決意が一瞬で消える。

「許さないから謝るだけ無駄」

俺は有紀が口を開く前に言った。

有紀がドアの前で固まる。

「もういいから自分の部屋に戻って」

「で、でも」

「どうでもいい。人の心配を無下にする奴は一人で仕事でもしてたらいいだろ」

「っ……」

「出てけ」

有紀は今にも泣きだしそうな顔をして出ていった。

「言い過ぎたか……」

少し後悔するが心を鬼にして30分後に有紀に会うことにする。

そうでもしないと有紀は反省しないだろう?
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