イジワルな彼は私を溺愛しています ②
きっちり30分後。

俺は有紀の部屋のドアをノックした。

……返事がない。

もう一度ノックするがまたしても返事はない。

ガチャり。

ドアを開けても何の音もしない。

おかしいと思って部屋に入ると有紀がベッドで寝ていた。

「反省してなかったのかよ……」

そっと有紀の隣に寝転んだ。

有紀の髪をどけると、顔に泣きあとが見えた。

眉に力が入っていて苦しそうな顔をしている。

悪夢でも見ているのだろうか。

「ま、待ってよっ……」

有紀が突然、悲痛な声をあげた。
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