イジワルな彼は私を溺愛しています ②
*side 亜矢

大翔が好き。

今日こそ告白する。

と、数時間前までは意気込んでいた。

なのに。

大翔はmizusawaグループという誰もが知っている大企業の次期社長だと知った。私の手が届かない所にいる人だと知った。

はぁとため息をつくしかない。

「亜矢、どうした?」

「ん、なんでもない」

「……なんでもない事ないだろ。自分で言うのもなんだけど、今まで俺がmizusawaグループの副社長って言わなかった事に対して何か思うものだと思うし」

「そうだけどさ。正直言ってショックだし、大翔が凄い遠くに行った気がするし、今まで大翔も有紀も言ってくれなかった事にもダメージあるし。でも、言ったってしょうがないでしょ。これが現実なんだし」

「ふっ、そうだね」

大翔は何か面白いのか笑った。

「亜矢が怒るかと思ったから」

「流石にここで怒る事はしないよ」

今、私達6人はリムジンに乗ってどこかのショッピングモールに移動中だ。

私と大翔以外の4人はイチャイチャしている。

有紀と会長は見ることすら躊躇させるくらいのイチャイチャぶり。

こんな雰囲気で怒るような精神は持っていないつもりだ。

「ここじゃないなら怒ってた?」

「多分怒らないと思う。怒りよりもショックの方が大きいし」

「ショックか。何が1番ショックが大きい?」

大翔が遠くに行った事。

とは言えない。
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