イジワルな彼は私を溺愛しています ②
「それなら、掃除業者にでも来てもらって二人で出かけるか」
「分かった、ちょっと待ってて」
私は寝室にあるクローゼットの中からこの前、亜矢と紗知と出かけた時に買ったワンピースを出した。
私も和海とつり合う女になろうと頑張っているのだ。
鈴木晴香に負けないように。
「よし!」
薄く化粧をして、髪を星型のバレッタで止める。
日焼け止めを塗ってから、ワンピースの白と合った赤いバックを持つ。
それだけのことに20分も経ってしまった。
鏡で確認して和海のいるリビングに行った。
「どう?」
「……有紀、それはダメだ」
和海は私を一通り見たあと言った。
「露出が多い。生足を見せるな。肩出しもダメだ。それと、化粧は落とせ」
なっ。
頑張ったのにその仕打ち?
「酷いっ!私の足ってそんなに醜い?!化粧だって薄くしたし、このワンピースも自分で選んだんだからねっ!」
「酷いのは有紀だ。そんな生足見せて街中歩いてみろ」
「日焼け止めはちゃんと塗ったっ!」
「そうじゃないだろうが。男からの視線を想像してみろ」
「はあ?そんな醜い足見せるなっていう視線?!最低っ!」
「だからっ、違うって言ってるだろう。なんでそうなるんだ」
「なんでってそう言ってるのは和海でしょっ!せっかくオシャレしたのにっ!」
「はあ」
和海は息を吐いて私をソファに押し倒した。
「少しは自覚しろ」
和海の息が顔にかかる。
「……私がブスだって?」
「誰がそんなこと言った?有紀が可愛すぎるの」
「っ//」
「少しは自覚しようか。ファンクラブまであるくせにどうしてそんな無自覚でいられるわけ?」
「和海だってあるしっ……」
「それが何?いいから、その格好はダメ」
「嫌だ」
私だって和海とつり合う女になるって決めた。
鈴木晴香に負けたくない。