イジワルな彼は私を溺愛しています ②
「授業サボる」

有紀はそう言って席をたった。

「おい、サボる気か?」

「いえ、頭痛がするので」

有紀は見え見えの仮病を使って教室を出た。

もちろん、後ろに俺もついていく。

「なんで来たの」

生徒会室に入ると有紀が言った。

俺は生徒会室の暖房をつけて、有紀を膝の上に乗せている。

「誕生日」

「誕生日だからって来ていい理由にはならないでしょ」

「いい事だとは思ってないからな。先生もダメだって言ってたし」

「ダメって怒り方はどうかと思うけど、最もらしい言い訳ぐらいするべきだったでしょ」

「次からはそうする」

「……もしかして2時限も来るつもり?」

「ああ」

「…………はぁ、言い訳頑張って」

「頑張る。ところで、チョコいるか?」

「どうして?」

「それ」

俺が指した所にはダンボール3箱分のチョコがあった。

「あれ、和海の分でしょ」

「あんなに食えるわけないだろ」

「そうだね」

「だからバレンタインは嫌いだったんだ。毎年持って帰るだけで注目されている量のチョコを渡されるからな」

「確かに……。そのチョコはどうしてたの?」

「潤にあげてた。それでも残ったら処分」

「そうなるよね……」

「だから有紀が食べろ。有紀はもっと太った方がいい」

「なんかなぁ」

有紀はそう言いつつも、ダンボール箱を漁り始めた。
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