イジワルな彼は私を溺愛しています ②
「失礼します」
私はダンスの練習が終わると、制服に着替えてから忙し過ぎて修羅場と化した生徒会室に入った。
生徒会室は中央に長机があり、壁際に役員用のデスクがある。
和海は長机の奥にいた。
「有紀、なんだ?」
パソコンを壊す勢いで叩いている和海が言った。
「文化祭で私達のダンス見てくれるよね?」
「ああ、行くつもりだが?」
「会長!無理です、そんなの!当日会長は分刻みでやることがあるんですよ!」
書類整理に追われている男の子が言った。
いや、本当は高校三年生だが童顔のせいで中学生一年生くらいにみえてしまうのだが。
「でも、皆和海のこと楽しみにしてるから少しだけでも顔見せてほしい」
「ああ。スケジュールは春樹が調整しとけ」
「無理ですよー。これでも、頑張ってスケジュール作ったんですよ」
「知らん」
「そんなー」
春樹と呼ばれた先輩は肩を落として自分のデスクにかえっていった。
「有紀、少し手伝え」
和海は私の前の机に書類を山のように積み上げた。
「種類別に分けろ」
「え……分かった」
もう自分の仕事に戻ってしまった和海を見て、私はカバンを床に置いて、書類の前の椅子に座った。
ぱっと見で仕分けていく。