イジワルな彼は私を溺愛しています ②
「ちょっといいかしら?」
1人の女が集団の後ろから来た。
女達はムッとすることなく、どちらかというとはっとしてその女の道を開ける。
「あ、先輩!」
何故か有紀がぱあっと笑顔になり、その女の方にいく。
「おい、有紀……」
「有紀ちゃんごめんね。彼女さんの前でバレンタインチョコを渡すなんて無神経だと思ってるんだけど」
女は有紀の前に立って頬に手を当てて言う。わざとらしい。
「でも、ファンクラブとしては認めてほしいのよ」
「もちろん。全部和海に食べさせます!」
どういう約束してんだよ。
「うん、よろしくね」
女は有紀の頭をぽんぽんと撫でると、チョコを俺に渡してくる。
それに続くようにして女達が殺到してくる。
有紀は上機嫌で教室に入っていった。