イジワルな彼は私を溺愛しています ②
独占欲
生徒会室の扉をあけた瞬間空気が凍りつくのが分かった。
原因はドス黒いオーラを隠そうとしない和海だ。
一瞬凍りついた皆は救いを求めるように、一人冷静にパソコンを見ている渡辺先輩の方を見た。
渡辺先輩は視線を感じたのか振り向き…和海を見て顔をしかめた。
当の和海は椅子に座りパソコンを立ち上げている。
「カズ」
「なんだ?」
渡辺先輩の声にドスのきいた声で和海が答えた。
「少しは機嫌を直す努力をしてくれ。仕事にならん」
「無理だな」
はあーと渡辺先輩はため息をついて私を見た。
「そういえば、水沢さんのクラスはダンスだと」
「は、はい。チアガールの格好でアイドルの曲を」
ピキッ
パソコンにヒビが入る音がした。
犯人は和海だと見なくても分かる。
「水沢さん、他には?」
渡辺先輩が何か目で訴えてくるが、何を言ってほしいのか分からない。
「あ、えーっと、客寄せを頼まれました……」
ガダッ
和海が席をたった。
皆の視線を集めながら生徒会室の扉を開けて、出ていった。
バタンッ
勢いよく閉まった扉の余韻が消えたとき、一気に場の空気が弛緩した。