イジワルな彼は私を溺愛しています ②

「西山大和って言います。恥ずかしながら水沢有紀ファンクラブの会長をやらせて頂いています」

……お、おお。

実在していたのか、私のファンクラブは。

「あの、あ、握手して頂いてもよろしいでしょうか」

この人、同学年か先輩だよね?

そんなに緊張しなくても。

私は手を差し出した。

「えっと……その……」

西山くんはモジモジして中々握手しようとはしない。

私はイライラして、西山くんの手を握った。

「…………っ」

西山くんは顔を真っ赤にして口をパクパクしている。

「これでいい……ですか?」

先輩かもしれないと思い丁寧語を付け足した。

「は、は、はい!」

そんなに緊張しないでほしい。

私は手を離した。

「じゃ、私はやることがあるので」

西山くんに背中を向けた。

「あ、あの……会長なら化学室に。も、もちろん有紀ちゃんをつけてきたとかじゃなくて、ちょっと聞こえちゃっただけで、だ、だから」

「化学室。ありがとうございます」

私は西山くんにお礼を言って化学室に向かって走り出した。
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