イジワルな彼は私を溺愛しています ②
「はあはあはあ」
化学室は三階にある。
階段を一階から駆け上るのは息がきれる。
化学室のドアを開けた。
仲には和海しかいなくて、和海は窓を開けて外をぼーっと眺めていた。
「和海」
和海がこっちを振り向いた。
「戻ってこいって」
「ああ」
和海からは黒いオーラはすっかり消えていた。
「有紀」
和海の声が弱々しい。
「何?」
少し不安になる。
和海に何かあったんだろうか?
「いや、ごめん」
……………………………………………………………………………………………………………え?
和海が謝った?
「あー、えーっと何のこと?」
私の思考はフリーズしそうだ。
「流石にここまで束縛が激しいのはあれだろ」
どれですか?
「このままじゃ有紀に嫌われるから」
「ちょ、ちょっと待って!全然分かんないから」
まず、束縛って何?
なんで私が和海を嫌いになるの?
「………………………………は?分からないか?」
いつもの和海に戻った。
「全く。説明してくれると」
「ならいい。はあー、俺の早とちりかよ」
和海はまた外を見た。
何だったんだ?
早とちりって?
気になるけど聞いてはいけないような……。
まあいっか。和海が元に戻ったみたいだし。
「和海、行くよ」
私は和海に言った。
「ああ」
和海はドアの前に立っている私の方に来た。
チュ
「っ///」
不意打ちのキスは心臓に悪い。
「行くか」
和海は私の手を掴んで生徒会室の方に歩き出した。