イジワルな彼は私を溺愛しています ②
和海に引かれるようにして行ったのは文化祭実行委員会の本部だった。文化祭実行委員会の本部に一歩足を踏み入れた瞬間私は回れ右しそうになった。

ここに比べれば生徒会の忙しさなんて可愛いもんだ。

「カズー助けてー!」

部屋の奥から翔先輩が来た。

「「「「「会長!」」」」」

「「「「「キャー!」」」」」

和海は男女問わず人気らしい。

「翔、ちょっといいかな?」

あはははっ。

和海の王子様モードは面白すぎて笑いを堪えるのに腹筋を総動員しなければいけなくなった。

「ん?いいけど?」

「皆ごめんね。少し委員長借りるね」

「「「「「どうぞ!」」」」」

「そこまで元気よく言われると落ち込む……」

和海は翔先輩を廊下に連れていった。

「当日の俺の予定、少しあけれるか?」

「無理。カズは会長なんだから休みなんてない!」

「それなら、勝手にバックれるからな」

「困るって!今さら何言ってんのさ。和海はどこか見たいとこもでもあるわけ?」

「有紀のダンス」

「うわっ、本当にバカップル。そこだけならどうにかできるかもしれないけど」

「じゃあ、頼んだ」

和海はスタスタ歩いていく。

「え、ちょっと待って……」

翔先輩は後ろで叫んでいるが和海は気にしない。

私は急いで和海を追いかけた。
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