イジワルな彼は私を溺愛しています ②
「カズ、カズ!」

「なんだうるさい」

与えられた仕事を終わらせて暇を持て余していた時、扉を壊す勢いで翔先輩が入ってきた。

「モニュメントが壊れた!!」

「はあ?!」

和海が勢いよく立ち上がった。

モニュメント?

「文化祭のシンボル。あれだけは夏休み前から準備してたの」

加賀田先輩がそっと耳打ちしてくれた。

「そうですか……」

「今からやってたんじゃ間に合わないよ!土台を作って組み立てて…あーもうどーしよう!!」

翔先輩はもうパニックだ。

まあ、文化祭実行委員長の仕事で今大変な時期なのにこんなことがあったんじゃパニックにもなるか。

「落ち着け。もう、こうなったらやるしかないんだ。俺が考えるから翔は今やる事をやってろ」

「わ、分かった。頼んだよ和海!!」

翔先輩は嵐のようにとんでいった。

「で、カズどうするつもり?」

「それを今考えてんだ。ちょっと待ってろ」

和海は頭を抱えている。

「大丈夫?」

「そんなわけないだろ。大丈夫にするしかないんだ。有紀は仕事してろ」

「もう、とっくに終わってる」

「それなら、あの書類でも」

「それはやっといたから。私で良ければ一緒に考えるけど」

「嘘だろ」

「何が。いいから和海も少し落ち着いて」

「……ああ」

和海は深く息を吸った。
< 38 / 216 >

この作品をシェア

pagetop