イジワルな彼は私を溺愛しています ②
*side 和海
不意打ちにも程があるだろ。
俺のために可愛くなりたいって嬉しすぎる。
鈴木晴香なんて勝負にならないくらい有紀は可愛いのに必死になって。
有紀はサンダルを履いてバックを持った。
「行こう」
俺は有紀の手を握って玄関から出た。
「どこ行きたい?出来れば本屋以外で」
有紀は本屋に行くと時間を忘れる。
ふらふらと目をはなしたうちにどこか行って、見つけると必ず男が本を買ってあげようか、とナンパしているのだ。
買ってもらっていたときには、すぐに同じやつを買ってそれを有紀が見てない所で入れ替えた。もちろん、買ってもらっていた本は今は灰になっている。
「それなら、水着を買いに行きたい。夏休みの間、皆でプールに行こうって話しをしてるから」
「皆って誰?」
「亜矢と紗知。二人は他にも何人か誘いたいって言ってるけど」
「宮沢ってやつは?」
「はあ……宮沢君はもう転校した。これ三回目ね」
そういえばそうだった。
あいつは親の都合で一週間くらい前にどっかに行った。
「そういえばそうだったな」
俺は駅に向かって歩き出した。
電車に乗って隣町にある大型ショッピングモールにでも行くことにする。