イジワルな彼は私を溺愛しています ②
「それで、警備はどうするつもりなの?」

………………………警備?

「け、警備ですか?」

「まさか、有紀を警備なしで踊らせるわけじゃないよね?」

「ひっ……」

女子の顔が青ざめていく。

きっと今、和海の目は笑っていない。

「え?そのつもりだったの?」

「ぇ、ぁ、、、」

女子は言葉にならない声を出して口をパクパクさせることしかできない。

「和海、皆をいじめないで」

私はこれ以上和海の雰囲気にのまれたら再起不能になる女子が現われそうなので、和海に言った。

「いじめてなんかないよ?」

「はあー」

王子様モードの和海にはいつになっても慣れない。

「警備なんて付くわけないでしょうが。私だって合気道四段は持ってるし、文化祭の中で誰かを襲う不届き者がいるわけないでしょ」

「そうやって油断して大変な目に合ったのは誰だっけ?文化祭には色んな人が来るんだから」

「分かったから。警備は付かないよ。そんなに心配なら私が和海といるから皆の負担になるようなことしないで」

「そうか、それならいい。皆、邪魔してごめんね。じゃあ、ダンス頑張って」

和海の笑みにノックアウトされる女子達。

和海は目をハートマークにする女子を気にもかけず、私にだけ分かるように「他の男を釣るな」と耳元で言って去っていった。
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