イジワルな彼は私を溺愛しています ②
一日一回ダンスの公演をやると和海から聞いて有り得ないくらいに燃えた女子による特訓で私はへろへろだ。

腹の虫がなり始めたころにやっと解放された私は私服に着替えて生徒会室に向かった。

和海は先生に掛け合い、私と生徒会役員は生徒会室内でのみ私服が許された。それと、シャワー室の使用も許可してもらったらしい。

「失礼します」

ノックして生徒会室に入る。

中は蒸し風呂のように暑い。

「あ、水沢さん。今日もよろしく」

小嶋先輩が私に気づいて挨拶してくれた。

「この部屋、暑くないですか?」

「ああ、今クーラー付けてもらってるの。だから、ちょっと我慢してね」

加賀田先輩が言った。

クーラーか。

きっと、和海がクーラーを設置したように先生に言ったんだろう。

「分かりました」

私は長机に置いてあるパソコンの前に向かった。

「有紀、やる事が書いてある。全部終わらせろ」

和海にポンと渡された冊子。

パラパラと捲ると、恐ろしい程の仕事が書かれていた。

一つ一つ丁寧に説明がついている。

「もうお昼だからご飯にしようよー」

川谷先輩の声がした。

私もその申し出に賛成だ。

お腹がすいて今は仕事なんてできない。

「それなら行くか」

渡辺先輩が言った。

「どこに行くの?」

「調理室。俺らの分も作ってもらえるように頼んどいた」

「やったー!正樹ありがとー!」

川谷先輩は立ち上がって一足先に調理室に向かった。


私は料理部の方の美味しいカレーを食べて、生徒会室に戻った。

「俺らはモニュメントの材料を買ってくるから」

ということで、他の人はいない。

私は水で濡らしたタオルを首に巻いてパソコンの電源を入れた。


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