イジワルな彼は私を溺愛しています ②
「うーん」

私は仕事が一段落した所で大きく伸びをした。

まだ役員さん達は帰ってきていない。

コンコン

ノックの音がした。

「……どうぞ」

一瞬中に入れてもいいか迷ったが、先生だったら追い返すのはマズいと思ってそう言った。

「あ」

入ってきたのはファンクラブ会長の西山大和だった。

「ゆ、有紀ちゃん?!」

顔から火が出そうなくらい赤くしている。

「ま、また会っちゃった…。ど、どうしよう」

「あの、」

「は、はい」

「用事があってここに来たんですよね。ですが、見ての通り役員さんは出払っているので」

「あ、はい。あ、あの、会長に伝言があって」

はぁ。

この話し方イライラする。

どうして私に対してそんなに緊張するわけ?

私がなんか脅してるみたいだ。

「ぶ、文化祭のことで」

「……」

「ファンクラブとしてお役にたてることはないかと……」

「そうですか。ですが、私からは何とも言えないので、クラスを教えてくれませか」

「は、はい。2年A組の西山大和です」

「分かりました」

「は、はい。し、失礼します」

私は紙に『2年A組 西山大和』とメモして、仕事を再開した。
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