イジワルな彼は私を溺愛しています ②
生徒会室に戻って、仕事をする。
なるべく急いで仕上げないと喫茶店の準備が間に合わない。
私はパソコンを2台使う許可を和海にもらって、1つは資料作りに。もう1つはネット発注に。
目が回るような忙しさだ。
「有紀、お客さんだ」
少し不機嫌な和海の声がした。
「ちょっと待って。…………いいよ」
顔を上げると5人の男子が机を挟んで目の前にいた。
ファンクラブの方々だろうが、西山先輩の姿は見えない。
まあ、西山先輩は嫌いなので私としては都合が良いが気になるので聞いてみる。
「ファンクラブの会長さんはいないですか?」
「会長はジャンケンで負けたんですよ」
中央に立っている優しそうな男の子が言った。
「会長が会長になれたのはジャンケンで勝ったからです。俺たちは全部ジャンケンで決めるんです」
「そうですか」
いわゆるジャンケン主義。
私のファンクラブはすごい所だ。
まあ、所詮他人事だが。
私は5人に席につくように言って、喫茶店のことについて話した。
「俺たちは当日、喫茶店の裏方をすればいいんですね」
「そうです。ただのボランティアなので無理にとは言いませんがやって頂けますか?」
「是非」
「クラスを教えてもらえますか?詳細は後日私から伝えるので」
私は5人のクラスをメモした。
「あの、全員先輩ですがどうして私に敬語なんですか?」
そう。驚くことに全員3年生の先輩だ。
1年生の私に敬語を使うなんておかしい。
「ファンクラブの掟です。気にしないで下さい」
「そ、そうですか…」
私の顔は引きつってる。
だんだんこのファンクラブが怖いものに見えてきた。
敬語を1年生に使うなんていう掟を作るなんて闇が深そうな匂いがする。
「では、後日伺います」
私はそう言って5人を追い出した。