イジワルな彼は私を溺愛しています ②
「……なんですか?」

女子の痛い視線をなるべく無視して近づく。

会長と付き合っているくせに、と思われてることは想像に堅くない。

「カズが何処にいるか知ってる?」

渡辺先輩が言った。

「知りませんけど、何かあったんですか?」

「なんか、カズが喧嘩ふっかけられたみたいで」

翔先輩が笑って言った。

「カズ、その喧嘩買っちゃったんだよね」

「笑い事じゃないです」

喧嘩を買うって和海は馬鹿なのか。

「私、電話してみます」

私はスマホを操作して、和海に電話をかけた。

「もしもし、和海」

『どうした?』

「喧嘩したって本当なの?」

『今終わった。ダンスに間に合わせるために久々に本気出したから、疲れて非常階段に座ってる。あと少しで戻る』

「わかった。私は講堂に行かなきゃいけない時間になるから講堂に向かうけど、渡辺先輩達が心配してたから連絡いれてあげて」

『ああ』

私は電話を切った。

「何だって?」

「戻ってくるそうです。私は講堂に行きます」

「分かった。俺らもダンス見に行くから頑張って」

「はい」

私は急いで講堂に走った。


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