イジワルな彼は私を溺愛しています ②
「有紀ちゃん、凄く良かったよー!」

「さすが有紀ちゃん!!」

「ありがとうね!」

ステージ裏に戻ってから、クラスの皆が声をかけてくれる。

「ありがとう」

私はそう返しながらチアガールの服を着替えて、和海の元へ走った。

「和海!」

「ダンス良かったぞ」

「ありがと。早く保健室に行くよ!」

「ああ」

私は和海に肩を貸しながら歩いた。

何事かと集まった野次馬を蹴散らして保健室に向かう。

ガラガラ

足で保健室のドアを開けた。

「どうしたの?」

養護の先生がおっとりとした口調で聞いてくる。

「喧嘩したんです。手当してもらえますか?」

「分かったわ」

和海を椅子に座らせた。

「あらら、口も切っちゃってるわね。足の打撲も酷いわよ。全く、会長さんなんだからしっかりしないとね」

養護の先生はそう軽口を叩きながらテキパキと手当をしている。

私はほっと一息ついた。

「痛っ」

和海がたまにそう言う声が聞こえるが自業自得だ。

全く、心配させてくれる。

「はい!一通り手当しといたからね。毎日絆創膏は張り替えること。湿布は痛みがひくまでは貼っときなさいよ。あと、口の中切れてるから食べるとき痛いかもね」

養護の先生の言葉に和海が顔をしかめる。

「そんな顔しないの。元はといえば喧嘩したあなたがいけないんだからね。彼女さんにまで心配かけて。はい、用事がすんだらさっさと保健室から出る!」

「はい」

私は大人しく返事をして和海を支えることなく保健室から出た。

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