イジワルな彼は私を溺愛しています ②
「え…」

有紀は生徒会室の中にいる人の数に驚きで声を出した。

中には有紀と俺目当ての男と女が大量にいた。

「「「キャー!会長が来たー!」」」

うるせぇ。

「「「水沢さん、ちょー可愛いな」」」

男共が有紀をジロジロ見ている。

俺は有紀をさりげなく自分の後ろに隠そうとした…有紀がいない。

いつの間にか有紀は女の方に行っていた。

「貴方が水沢有紀さん?」

「はい」

「私達ね、貴方のこと認めることにしたの」

「……?」

「ああ、私は会長のファンクラブ会長」

「そうですか」

「それでね。話し合った結果、貴方以上に会長と釣り合う人はいないという結論になったの」

勝手に結論出すな。

「え?」

有紀の目が驚きで見開かれた。

「貴方は頭もいいし、運動もできる。それに、会長に埋もれないくらい可愛い」

女はニコッと笑って有紀の頭を撫でた。

有紀は少し顔を赤くしている。

「だから、会長をよろしくね」

「はい!」

有紀は俺にも見せたことがないくらいの笑顔で返事した。

なんで俺にはそんな可愛い笑顔しないのにあの女にするわけ?

ムカつく。

……女に妬いてどうする。

「あの、しばらくここにいるのでその…」

有紀は完全に乙女だ。

それをなんで女の前でする?

「会長借りてもいいの?」

「はい。どうぞ」

俺は商品のように有紀に引っ張られ、女達の前に差し出された。

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