イジワルな彼は私を溺愛しています ②
「ね?会長忙しそうでしょ?です」
「その敬語やめてもらえますか」
何故か口調が刺々しくなる。
「いいの?ですか」
「はい。掟に触れなければ」
「それは無理です」
背の高い方が言った。
「そうですか」
無性にイライラする。
「水沢さん、本当にごめんね。です」
私の顔色を伺っている。
「…大丈夫ですよ。掟ですし」
私は愛想笑いという仮面を被って言っ
た。
「それなら、良かった。それで、水沢さんの仕事見てもいい?ですか」
「いいですよ」
そんな言葉が口から出ていた。
「やった!俺は1年B組の田中壮太。です」
馬鹿は田中。
すぐ覚えた。
「同じく佐藤悠基です」
落ち着いている。
この人は本当にアホらしい掟だらけの私のファンクラブに入っているのだろうか。
「同い年だから私はタメでもいい?」
「ぜひ!」
田中は嬉しいのか、顔を高揚させて言った。
「じゃあ、タメで。さすがに許可なく生徒会室に呼ぶわけにもいかないから、適当に文化祭終わったら昇降口にでも来て。空き教室でやろ」
「やったー!ありがとうございます!」
やっと田中の口からまともな敬語を聞くことができた。