イジワルな彼は私を溺愛しています ②
「「「「「有紀様!!」」」」」

生徒会室の扉が勢いよく開いた。

「どうしましたか?!」

私の事を有紀様と呼ぶのはアシスタントの5人のみ。

普段騒ぐことをしない彼の声色に私も大声を出してしまった。

私は視線を感じていたたまれなくなり、無言で生徒会室から出た。

何故か田中と佐藤もついてくる。

「校長が、喫茶店について聞きたいことがあると有紀様を呼びたしています」

「それだけですか?」

「有紀様はご存じないかもしれませんが、校長は堅物で有名です。このままでは喫茶店を中止するように言われてしまいます」

喫茶店を中止すると聞いて、自分の顔が険しくなるのが分かった。

「…わかりました」

私は校長室に向かって歩き出した。

私が歩く後ろを5人が。それに続くように、田中と佐藤がついてくる。

「あの、私1人で大丈夫ですから」

私は周りの視線が痛くなり、途中で振り返って言った。

「…わかりました。何かありましたら連絡をいれて下さい」

もう、私の親衛隊となっている5人は私が連絡することが多いため、5人のメルアドをもっている。

ファンクラブの掟で、私の電話番号やメルアドをもらってはいけないらしい。

だから私は捨てメアドのアプリをわざわざ入れて連絡することにしている。

とてもめんどくさい。
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