イジワルな彼は私を溺愛しています ②
私はノックして校長室に入った。
「失礼します。1年C組 水沢有紀です」
「かけてくれ」
私の担任と同じような外見をしている校長が応接室も兼ねている校長室のソファに座るように言った。
私は校長のちょうど正面の位置に座る。
「なんだね。私の顔に何かついてるかね」
「いえ」
本当に頭の髪が白いか無いかの違いしか担任と変わらない。
おじいさんになると皆こうなるのか。
「本題に入らせてもらってもいいかな」
「はい」
確認をする所が嫌味ったらしい。
「後夜祭で行う喫茶店の事だが、キミはサインにもお金をとるのかね?」
顔がキモい。
汗で光った顔を近づけるな。
「需要はあると思います」
「しかし、アイドルじゃないんだからそんなのもでお金をとるのはな」
「学園のアイドルのようなものでしょう。それに、この売り上げはモニュメント制作費にあてようと考えています」
「それは結構なことだ」
こいつの話し方は癇に障る。
「しかし、そんなものを売っているとしれたら地域の方からクレームがくる」
初めからそう言えばいい。
大義名分としてそれほど立派なものはないだろう。
そして、立派だからこそ私は返答に詰まってしまう。
「…それをどうして今日言うのですか?」
文化祭の日に言うとはめんどくさいことをしてくれた。
「先程思い出してな」
「そうですか」
サインだけでお金をとるのはダメ。
つまりはサインだけじゃなければいい。
つまり、今から準備ができることは
「……写真撮影も含みましょう。文化祭最後の日ですから記念撮影に。それでいいですか?」
写真撮影。
和海に許可を取らずに言ってしまった。
避けたかった事態だが仕方ない。
「許可する。その代わ、非常識な値段にしないことだな」
「分かりました。失礼します」
私は一礼してから校長室から退室した。