イジワルな彼は私を溺愛しています ②
*side 和海
俺は今有紀を膝の上に乗せて椅子に座っている。
そして、有紀のファンクラブの奴ら5人の冷たい視線を受けている。
有紀はその目付きが真剣な目だと勘違いしたのか、話し出した。
「写真撮影をすることになりました」
横一列に並んで立っている男共は「そうですか」と言うだけ。
「そして、喫茶店を大幅に変更します。写真撮影によって確実に身動きがとれなくなるのは和海、渡辺先輩、翔先輩です」
「有紀様も確実かと思いますが」
「え?私ですか??」
「ダメだ。有紀の写真撮影なんて認めない」
有紀と他の男の写真なんて俺は許さない。
「ですが、そうするだけで売り上げは倍になります」
お前らが有紀の写真ほしいだけだろうが。
「倍…。それは魅力的ですね……」
有紀の顔は見えないが、きっと思案顔になっている。
「有紀」
「でもね、売り上げ倍」
「おい」
ビクッと有紀の体が震えた。
「ま、まあ私の事は一旦置いといて、店の事ですね…」
話題を逸らしたな。
「出店スタイルは少し大きめの屋台にします。飲食スペースとして使う予定だった机と椅子を並べときます。これはただのサービスですが」
有紀は一旦言葉を切った。
「そして、写真撮影はアイスを買った時についてくるカードで1回撮影ができるようにします。アイスは1つ500円で高めにします。この値段でも12万円の売り上げを出すには240個売る必要があります」
「大変ですね」
「はい。後夜祭の短い時間で写真撮影を含めてやりきるのは不可能です」
不可能。
確かに写真撮影には時間がかかる。