イジワルな彼は私を溺愛しています ②
ピンチです。

前には親衛隊の方々。

それに対峙する和海。

親衛隊は私のお供と護衛を称して一緒に私と文化祭をまわると主張している。

和海はいつもならそんなのは蹴散らすが、今はカメラの存在のせいで王子様モードであるため威圧的な態度がとれずにいる。

「会長が有紀様と行動するのには意義はありません。それに少しお供としてついていかせて頂ければいいのです」

「あなた方は好きに行動して下さい。無理に付き合う必要はないですよ」

いつもなら「黙れ。有紀、行くぞ」と言って相手にしない和海だが、今はそうもいかない。

「好きにしてもいいなら、ついて行ってもよろしいですよね?」

和海の顔が引きつった。

「すいません。少しだけカメラ止めてもらえますか?」

和海はカメラ係の方に笑顔を向けて言った。

「は、はい。少しだけなら……」

「ありがとうございます」

和海はカメラを下ろしたのを見てからにこやかに言ったが、親衛隊の方に向き直ると人が変わったように睨み付けた。

そして、親衛隊の方に近づいた。

「調子のるのもいい加減にしろ。お前らには色々と世話になってるが、やっていい事といけない事は判断しろよ」

気温が一気に氷点下に下がった。

「有紀は俺のもの。お前らのもんじゃねぇ。お前らは有紀が必要とする時だけいればいい」

なんか私が最低の人みたいに言わないでほしい。

「俺の邪魔をするな。今すぐ失せろ」

親衛隊の方々は和海の威圧に負けたのか肩を落とした。

「有紀様、失礼します」

「え、あ、あの」

さすがに申し訳なく思って、親衛隊を呼び止めた。
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