イジワルな彼は私を溺愛しています ②
「5秒で考えてね」

悪魔が笑った。

「ま、待って」

「5」

私の静止を無視してカウントダウンが始まった。

「4」

進んでいくカウントに焦って頭は真っ白だ。

「3」

顔の前には綺麗な和海の顔がどアップである。これも、思考を停止するのに一役かっている。

「2」

和海の顔に見とれている場合ではないのだが、もう私は現実逃避するしかないのだろう。

「1」

「ま、待って」

再度の私の静止虚しく、

「0」

カウントダウンが終わった。

ゲームオーバーだ。

「ご、ごめんなさぃ……」

「お仕置きだな。有紀のお仕置きの回数が段々増えていく。今は3回目か」

3回……。

何をさせられるんだか…。

「次はハードなものにしようか。有紀はもうお仕置きに慣れてるから」

和海の目はもう私がお仕置きを受けている未来を見ている。

「でも今の怒りは抑まりそうにないな」

和海は私から離れた。

和海が離れたことで視界がひらけた。

周りの野次馬は王子様からは想像も出来ない和海を見て、唖然としている。

「ごめんね。さっきのは気にしないで。じゃ、またね!」

和海は野次馬にいつもの笑顔を向けて言ったが、流石に今回は誤魔化せないだろう。

和海は私の手を引いて歩いていく。

カメラ係は我に返ったようで、急いで私達についてきた。

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