イジワルな彼は私を溺愛しています ②
和海は生徒会室に入って椅子に座った。

さっきまで居た待ち伏せしていた人達は和海のドス黒いオーラを見て、速やかに退散して行った。

「か、会長。あの、ビデオを撮りたいのですが………」

カメラ係がビクビクしながら和海に話しかけるが、和海は無視だ。

「水沢さん、どうにかしてください」

カメラ係は私にそっと耳打ちしてくるが、それも和海を苛立たせる原因になっている事を自覚してほしい。

「和海、私そろそろダンス発表の時間だから…」

「有紀」

ダンス発表を口実にして逃げていくように見えたのだろうか。

本当に発表の時間なのだ。

まあ、半分は逃げたい気持ちもある。

「昨日よりもいい踊りをしろ」

「…分かった」

意外だった。

「期待にそえるように精一杯踊るから」

私は和海がダンス発表を楽しみにしてくれている事に、怒っていても私にエールのくれる事に少し感動した。

「ああ」

「あとちゃんと宣伝もしてくるから、和海も怪我直しといてよ」

私はそう言って講堂に向かった。



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