イジワルな彼は私を溺愛しています ②
*side 和海

どういう神経してたら俺の前で他の男と放課後デートする約束ができるわけ?

有紀はただあいつらにお礼がしたかったのだろうが、それなら菓子折でもあげればすむ話だろうが。

有紀のあの何にも考えてなさそうな顔を見たら怒鳴るのはやめておいたが、こちらの怒りは当分抑まりそうもない。

「ダンス始まるぞ。いいのか」

有紀のダンスは楽しみにしている。

だが、今は怒りが邪魔して楽しんでダンスを見る気分ではない。

「ほら、カズ」

曲が始まった。

「ん?」

昨日と違う曲だった。

昨日はアイドルのラブソングだった。

今日はJ-POPのエールソングだ。

「へー、いいじゃん。今日もチアリーダーの服なんだね-」

翔がうなづきながら言った。

「昨日と曲を変えているのか。しかし、昨日と違って動きが固くないか?」

「きっとカズのせいだね。水沢さんだけ、昨日と同じってことは」

「カズ、少し笑顔になれ」

二人の意見はもっともだが、笑顔になれない。

「はあ、ホント水沢さんと何があったんだよ」

翔が聞いきた。

「後でな」

今は有紀のダンスを見る方が優先だ。例え気分がのらなくても。

「独占欲を抑える努力ぐらいしろよな」

「ああ」

努力できたらこんなんになってないつうの。

有紀は笑顔で踊っている。

チアダンスをいくつか取り入れていてクオリティーが高い。
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