イジワルな彼は私を溺愛しています ②
*side 有紀

「有紀ー!」

着替え終わると、後ろから亜矢が抱きついてきた。

「あそこで愛の告白とか、凄い事するねー」

「愛の告白とかじゃ……」

思い出すだけで恥ずかしい。

「ふーん。じゃあ、どうしてエールの言葉のはずなのに、愛してる!!なんて言ったのかな〜?」

「//」

「あら〜、顔真っ赤。愛の告白をした人と同じとは思えないわ〜」

「亜矢ちゃん、そこら辺にしといてあげなよ。私まで恥ずかしくなっちゃう」

紗知、それはフォローになってない。

「確かにこっちが恥ずかしくなるねぇ」

ここから亜矢の顔は見れないが、きっとニヤニヤしているだろう。

「有紀ちゃん、明日もいいダンスにしようね!ほら、亜矢ちゃん行くよ!」

紗知が強引に亜矢を私から引き剥がした。

「ちょっと、紗知どうしたの」

「邪魔しちゃ悪いよ」

「あ、そうだねー」

亜矢と紗知がステージ裏から出ていった。

「どうしたんだろ」

私はそう呟いたが、2人が出ていった方を見て納得した。

「有紀」

「和海」

2人同時に相手の名前を言った。

「有紀の親来てるぞ」

「あ、うん。わかった」

文化祭に母が来るなんて聞いてないんだけど。

私は和海とステージ裏から出た。

「有紀。ありがとな」
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