イジワルな彼は私を溺愛しています ②
「え」

中には生徒会役員の皆さんがいた。

「やっと来た」

小嶋先輩は長机の椅子をひいた。

「どうぞ」

「ありがとうございます」

私は勧められて下座の椅子に座った。

隣に和海も座る。

私の正面は翔先輩だ。

「明日の事で集まろうってなってここに来たわけ」

翔先輩が言った。

「それなら、皆さんの写真撮影の希望服装を聞きたいです。出来れば、女性ウケがいいのでお願いします」

「それなら袴とか?」

「暑い。もう少しラフな格好でいい」

渡辺先輩が言った。

「じゃあ、個人の私服で良くない?会長だけ、袴でさ。どうせ、御三家以外はおまけだろ」

加賀田先輩がどうでも良さそうに言った。

「会長だけそうするのか?」

小嶋先輩が御三家じゃなくて?というニュアンスを入れて言った。

「そりゃ、会長は袴が似合うから」

「確かに。俺が着たら笑い者になる」

翔先輩が机に肘をついて言った。

「でも、皆さんの袴姿みたいです」

私は口をはさんだ。

腐女子としては、皆さんの袴姿はご馳走だ。

「水沢さん?」

全員の視線がこっちを向く。

「ダメですか?どうせなら思い出作りも兼ねて、袴も悪くないと思ったんですが……」

「いや、ダメとかじゃなくて意外だったから」

翔先輩は驚いた顔をして言った。

「袴で決定だ。用意出来なければ俺に言え」

和海がそう言って、写真撮影は袴で決まった。
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