アヴァロンの箱庭
どうしてこんなことになってしまったんだろう。
 
僕は何も悪くないのに。

悪いのは、僕を産み落とした世界の方なのに。
 
みんなが僕の存在を否定する……辛いよ。痛いよ。怖いよ。
 
一人にしてよ。もう、お願いだから……僕を責めないでよ。

誰も僕のことを分かってなどくれなくて。

その黒い視線を浴びるたびに、僕の喉は焼け付くようにヒリヒするんだ。


 
それはまさに、砂漠みたいに。
それはまさに、荒地みたいに。
それはまさに、地獄みたいに。


 
そう、この世界は地獄だ。

僕が生きるにはあまりに暑すぎて……あまりに恐ろしい場所。
 
助けて、なんて言わないよ。

そんなことを言っても都合よく救いなどやって来ないことなんて、よく分かっているから。

それより……もっと簡単な方法があるじゃないか。

この呪われた世界を変える、たった一つの方法。

それは灼熱の世界を凍てつかせる、奇跡の魔法。
 
でも……その呪文は一体何だっただろうか。

思い、出せない。思い、出したくない……

『ねえ……マフユ』



『――本当はもう、分かっているんでしょう?』
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