アヴァロンの箱庭
次の日の朝には、吹雪は止んでいた。
ただ、その代わりに空はまるで世界の終末が訪れたかの様な曇天で覆われている。
昼時になって久しぶりに雪原へ出かけようとするイブを真冬は何度も止めたが、彼女は聞かなかった。
「待っている人がいるの。この三日間描いてあげられなかったら、今日こそは行かなきゃ」
そう強情に言い張るイブに、真冬は尋ねる。
「あの君みたいな銀髪の綺麗な女の人のこと? その人は君にとって特別な人なの?」
「特別と言えば特別、なのかな。とにかく、やっと見つけたんだから早く描いてあげたいの!」
「分かったよ……その代わり、また天気が悪くなったらすぐに帰るよ?」
「うん! 分かってるって!」
二人は連れ立って小屋を出ると、三日ぶりに雪原のど真ん中へとやってきた。
雪原はこの数日間の吹雪によってすっかり雪が積もっており、点在している氷の結晶も雪で少し埋もれてしまっている。
そんな中、イブは目的の結晶を見つけ出すと、真冬と二人がかりで表面に積もった雪をどかして中に閉じ込められている女性の姿を露わにした。
改めて見ても、美しい女性だった。
もちろん歳が上(の様に見える)なのでイブとは違う、言わば艶麗という意味合いでの美しさだったが、それでも彼女からはどこかイブと似通った雰囲気や風格が感じられた。
そしてそれは、イブのことが好きである真冬にとっては少し複雑な感情を抱かせるのに十分でもあった。
「久しぶり! しばらくほったらかしにしてごめんね……今からすぐに描いてあげるから!」
ただ、その代わりに空はまるで世界の終末が訪れたかの様な曇天で覆われている。
昼時になって久しぶりに雪原へ出かけようとするイブを真冬は何度も止めたが、彼女は聞かなかった。
「待っている人がいるの。この三日間描いてあげられなかったら、今日こそは行かなきゃ」
そう強情に言い張るイブに、真冬は尋ねる。
「あの君みたいな銀髪の綺麗な女の人のこと? その人は君にとって特別な人なの?」
「特別と言えば特別、なのかな。とにかく、やっと見つけたんだから早く描いてあげたいの!」
「分かったよ……その代わり、また天気が悪くなったらすぐに帰るよ?」
「うん! 分かってるって!」
二人は連れ立って小屋を出ると、三日ぶりに雪原のど真ん中へとやってきた。
雪原はこの数日間の吹雪によってすっかり雪が積もっており、点在している氷の結晶も雪で少し埋もれてしまっている。
そんな中、イブは目的の結晶を見つけ出すと、真冬と二人がかりで表面に積もった雪をどかして中に閉じ込められている女性の姿を露わにした。
改めて見ても、美しい女性だった。
もちろん歳が上(の様に見える)なのでイブとは違う、言わば艶麗という意味合いでの美しさだったが、それでも彼女からはどこかイブと似通った雰囲気や風格が感じられた。
そしてそれは、イブのことが好きである真冬にとっては少し複雑な感情を抱かせるのに十分でもあった。
「久しぶり! しばらくほったらかしにしてごめんね……今からすぐに描いてあげるから!」