アヴァロンの箱庭
玲瓏
遠い夢を見ていたんだ。

とても儚くて、幸せな夢をね。
 
そこには、僕だけしかいなかった。

僕一人だけで世界は完結していて、それ故に僕は世界そのものだった。


 
そこは、無限と夢幻が果て無く広がる理想郷。
僕が求めて、望んで、愛して止まない安息地。
止んでしまったら、病んでしまう。そんな、哀切で美しい終着点。


 
その世界は、昔僕が読んだ本に書いてあったものとそっくりだった。

僕はその本を毎日心躍らせながら読んで……

そしてその頃にはもう、僕の部屋にはサンタクロースどころか家族すらやって来なくなっていたんだ。

たった一人を除いて。
 
また、雪が降ってきた。

僕の心の隙間を、全て埋め尽くしてしまう程に。

でも、それは全然寒くなんかない。
 
寧ろ――実は雪ってね。

握りしめていたら火傷をしてしまうくらい、優しくて暖かいんだよ。
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