アヴァロンの箱庭
そう言って強情に口元を結ぶイブに、真冬は返す言葉が見つからなくて口を閉ざしてしまう。
安らかに眠っているだけで、ここで氷の戒めに繋がれている人々は決して死んでいるわけじゃない。
そう思いたい気持ちは真冬にも痛いほど分かるが――同時に、そんなものは理想に過ぎないことだってよく分かっている。
「それに、私は純粋に絵を描くのが好きなの。こうして色んな人たちの美しい姿を描いていると、時間を忘れて夢中になれるから!」
「そんなことをするくらいなら、氷を割ってみんなを助けようとは思わないの?」
「そんなことをするくらいなら、美しい姿のまま絵に残したいとは思わないの?」
問いかけに対して真顔でこちらを見返しながら答えるイブに、真冬は心の中で首を振った。
……駄目だ。どうやら、この子と僕は到底分かり合えそうにないらしい。
「さーて、そろそろ日も暮れるし、お家に帰ろうっと。行くよマフユ。ここでは私が先輩なんだからね!」
「え……う、うん」
今まで散々放置しておきながら……という心の声を飲み込んで、真冬は頷く。
確かに曇天に染まった空は暗さを増し、雪も微かに吹雪いてきた。
彼女の言う家というのがどんなものなのかは見当も付かないが、ここは大人しく付いて行った方が身の為だろう。
安らかに眠っているだけで、ここで氷の戒めに繋がれている人々は決して死んでいるわけじゃない。
そう思いたい気持ちは真冬にも痛いほど分かるが――同時に、そんなものは理想に過ぎないことだってよく分かっている。
「それに、私は純粋に絵を描くのが好きなの。こうして色んな人たちの美しい姿を描いていると、時間を忘れて夢中になれるから!」
「そんなことをするくらいなら、氷を割ってみんなを助けようとは思わないの?」
「そんなことをするくらいなら、美しい姿のまま絵に残したいとは思わないの?」
問いかけに対して真顔でこちらを見返しながら答えるイブに、真冬は心の中で首を振った。
……駄目だ。どうやら、この子と僕は到底分かり合えそうにないらしい。
「さーて、そろそろ日も暮れるし、お家に帰ろうっと。行くよマフユ。ここでは私が先輩なんだからね!」
「え……う、うん」
今まで散々放置しておきながら……という心の声を飲み込んで、真冬は頷く。
確かに曇天に染まった空は暗さを増し、雪も微かに吹雪いてきた。
彼女の言う家というのがどんなものなのかは見当も付かないが、ここは大人しく付いて行った方が身の為だろう。