極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました
「佐伯くんは、入社前から注目されてたからね。うちの役員が直々にリクルートしたってほどの人材だ。情報は飛び交うし、中には口の軽いやつもいるってことだ。へえ、自分の入社の経緯を、佐伯くんから聞いてなかったのか」
にやりと笑う。

「・・・・・・」

「きみを見てると、手元に置いとくたくなる彼の気持ちも分からなくはないけどね。俺も男だから」

自分の顔が青ざめているだろうということだけは分かる。

「きみは憧れの仕事を手に入れて、彼はきみを手に入れた。悪くない取引だな」
愉しげに三崎さんが続ける。
「体がゆるくて頭の軽いだけの女の子かと思ったら、まんざら使えないってわけでもなさそうだけどね」

耳をふさいで、その場から逃げ出してしまいたかった。手にどっさり抱えた雑誌のおかげで、それも叶わない。

「佐伯くんと別れたら、俺が引き受けてやってもいいさ。きみは損得で男と寝れる女なんだろ」
ぽんとわたしの肩をかるく叩くと、彼は背を向けて去ってゆく。
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