極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました
「や、やっぱりダメかな・・・?」

それでも図々しく頼んでしまうのは、付き合いの長さのなせるわざか。

一つ引き受けるとキリがないからなと、独り言みたいにつぶやく。
「前やってくれたんだから、次もお願い。あそこのは受けてなんでこっちは、ってなるし。もともと俺はプレスとか店舗スタッフみたいな表に出る立場じゃないし、なにしろ仕事が忙しいから」

「そうだけど・・・」
うつむいて手にしたカップに視線を落とす。

いつも彼の言葉は一分の隙もなく論理的で。反論の余地はない。

なのにこうやってぐずぐずと子どもみたいに駄々をこねる。思えば子どもの頃からこんなやりとりを繰り返している気がする。

「だいたいアシスタントのそよかに言われて俺がOKしちゃったら、北川さんの立場がないだろ」

「そっか・・」
そこまで考えてなかった。やっぱりわたしって思慮が足りないな。

しょぼんと肩を落とす。そんなわたしに注がれる彬良くんのまなざしは、不思議と柔らかくて。
それを感じ取ることはできるわけだけど。
< 14 / 205 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop