極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました
考えても答えが出ないなら、悩んでもしょうがないのかなぁ・・・でもだからって・・・

静かに車を走らせる彼の横で、もやもやと考えこんでしまう。心中の暗雲は晴れる気配がない。
彬良くん、どこへ向かっているんだろう・・・

道はしだいに込んできて、都心部へ向かっていることは分かった。道幅が広くなり、高層の建物が並ぶようになる。
どうやら銀座方面に来ているみたいだ。

「うちの会社が契約してる駐車場があるから、そこに停めさせてもらう」と彬良くんがつぶやく。

ということは、目的地って———

「プライベートで来るのは久しぶりだな」

Eureka銀座店。中央通り、晴海通り、外堀通りといったメインストリートからちょっと奥まった立地にある。エントランスには石畳を使って、銀座という街の風格にふさわしい店構えになっている。

「あ、彬良くん、いいの?」
店の前でわたしは躊躇する。ショップスタッフなら当然社内の “王子” である彬良くんのことを知っているはず。

「一度そよかと来たかったんだ」
磨き上げられたガラス戸のアイアンハンドルをつかんで、押しあける。
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