極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました
とたんにふわりと鼻腔をつつむ香りに迎えられる。

あぁこの香り。銀座店のイメージに合うフレグランスをと、美奈さんがフレグランス専門店を探し回ってようやく見つけたものだ。
芳しさのなかに、ほのかな甘さとスパイシーさが絶妙にブレンドされている。
いろんなフレグランスを嗅ぎすぎて、鼻がバカになっちゃった、って美奈さんが疲労をにじませながらも充実した表情で語っていたのを思い出す。

美奈さんと、スタッフと、並べられた商品と、そしてお客様と、すべてが織り合わさって作り上げられるEurekaの店舗。やっぱり素敵な場所だ。

しかし、さっそく店員さん同士が、こちらを見てさりげなく目配せを交わしている。さすが、目ざといなあ。
その視線は同時に、わたしにもチクチク突き刺さる、慣れているといえば慣れている状況だけど。
「あの佐伯さんの隣にいる女の子、ダレ?」という声が聞こえてくるようだ。

今までは「幼なじみです〜」って逃げることができたけど、今は・・・
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