極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました
もう触れられても大丈夫なんじゃないかと思う。
だけど彬良くんは頑なに寝室を別にしている。わたしのことを気遣ってくれているのか、彼も迷いの中にいるのか、それとも———来るべき別れを見据えているのか。

誰かと付き合ったのは彬良くんが初めてなわたしは、当然別れを経験したこともない。

知らなかったな・・・
好きなひととの別れが、こんなにも辛くて苦しいものなんて。ひとりベッドで想像しただけで、涙で枕を濡らしてしまうほどの悲しみに襲われた。

好きなひとの幸せが自分の幸せだって、そんな風に思えればいいのに。
どうしても彬良くんのことが好きだ。やっぱり別れたくない。未熟なわたしは、心の中で叫んでいた。

恋人と一緒に暮らしているのに、口喧嘩ひとつしてるわけでもないのに。わたしの存在は彼にとって重荷でしかないかもしれない。
空虚さと不安と、背中合わせの日々。

まるでそれを見抜いているように、あのひとがまたわたしに接触してきた。
< 149 / 205 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop