極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました
三崎さんが指定してきたのは、ターミナル駅からほど近い、一流半といったランクのシティホテルに入っているフレンチレストランだった。

一方的な誘いなんか無視する、あるいは彬良くんに相談する。色々選択肢はあった。
なんだけど———多忙な彬良くんを煩わせたくない。もし仕事を中断させるようなことになってしまったら・・・それだけはダメだ。

そして、あのプライドの塊のような三崎さんの誘いを無視したときの、彼の怒りを想像するだけで憂鬱になる。

結局、しょうがなく、終業後かるく化粧を直して、指定されたホテルに向かった。彬良くんと会うときの、あのときめきに満ちた期待感はかけらもなかった。

黒服に席に通されると、三崎さんはすでに来ていた。くつろいだふうに足を組んでいる。

「来てくれないかと思ったよ」
目が狡猾に光っている。捕えた獲物をどう食べようかと舌なめずりする獣を連想して、早くも来たことを後悔した。

夜景がよく見渡せる窓辺の席で、予約するのはかなり難しいはずだ。
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