極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました
「ただいま」
「彬良くんお帰りなさい、ご飯できてるよ」
「うん、いい匂い」

愛することの喜びも苦しみも、その経験を自分の糧にすることも、すべて彬良くんが教えてくれた。彼がわたしを成長させてくれた。
どこか恩返しをする気持ちで、わたしは一日一日を過ごした。


ニューヨーク赴任の内示があった。
彬良くんの口からその言葉が出たのは、三崎さんの一件から一月ほどたった日のことだった、
夕飯を食べ終わって、いつものようにソファに並んで座っておしゃべりするくつろぎの時間。

「話があるんだ」とあらたまった口調で切り出されたときから、いやそのずっと前から、もう覚悟はできていた。だから落ち着いて聞くことができた。

「受ければ年明け早々に、向こうに行くことになると思う。今の仕事のスケジュールもあるから時期は多少前後するだろうけど」
視線は落としぎみに、前を向いたまま淡々と口にする。
< 167 / 205 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop