極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました
第九章/Overlay color


「あら〜、そよかちゃん、久しぶり」

店内に入ると、すぐに理沙子さんが華やかな笑顔を広げて、小さく手を振ってくれた。

代官山にあるインテリアショップ『ラッカウス』は、彬良くんのお母様、理沙子さんが店長をしている店だ。
佐伯という名字はそんなに珍しくないし、理沙子さんは余計なことを口にする方じゃないから。北川さんは理沙子さんとうちの “王子” が親子だとは気がつかなかったみたいだ。

「ご無沙汰してます」
ややぎこちなく頭を下げる。

母の親友で、それこそ親戚のおばさんのように親しくしていた理沙子さんなのに。
Eureka社員、宮原そよかという立場で会うことになるとは思わなかった。ついでに恋人、あ、いや元恋人のお母様でもある。

「あの、これ」
バッグからEurekaの社名入りの封筒を出して、中からペンを取り出す。無駄を削ぎ落としたシンプルで美しいフォルムが、理沙子さんらしい。

「わざわざありがとう。さすがEurekaさん、しっかりしてるわね」

「撮影用にランプを貸していただいたみたいで」

「ときどきそういう依頼はあるけど、Eurekaさんから来るなんて。世の中案外狭いわよね〜」
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