極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました
王子か、と理沙子さんが苦笑まじりにつぶやく。
「そよかちゃんと彬良を見てると、仁美とわたしの昔の姿を思い出すわ」
仁美、というのはうちの母のことだ。

「わたしも高校生の頃、周囲から “姫” なんて呼ばれたりしてたっけ。ほんとに彬良は、良くも悪くもわたしによく似てる」

母からよく理沙子さんとの思い出話を聞かされたものだ。高校一年のある日、噂のアメリカからの転入生を見たとき、最初ハーフかと思ったらしい。
すらりと背が高く手足が長い。繊細に整った美貌は、同性でありながら見ていると胸がドキドキするほどだったという。
その美少女は、帰国子女というハンデがありながら、英語のみならずどの科目の成績も優秀。スポーツも音楽も人並み以上で、それはまぶしい存在だったとか。
それなのに、思い切って話しかけてみると、性格は飾らず気さくでおしゃべり好き。すぐに仲良くなったという。その友情は、今にいたるまで続いている。
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