極甘同棲～エリート同期の独占欲を煽ってしまいました

やっぱりわたしは頭が悪くて、彬良くんのことを理解しているつもりで、想っているつもりで、実際のところ、まるで分かっていなかったみたいだ。

打ちのめされてへたりこみたいところなのに、こうしている場合じゃないと気は焦る。

———仁美とわたしは同性だったから、友情っていう形で関係が続いたけど、そよかちゃんと彬良には違う形での幸せな結末があるといいなって陰ながら、って全然隠してないわね、わたしったら。

———俺は、そよかにいつも支えてもらってる

理沙子さんと彬良くんの言葉が、ぐるぐると酸欠気味の頭の中をめぐっている。

もう何もかも遅いのかもしれない。取り返しがつかないかもしれない。それであっても、今はただ、会いたい、顔が見たいよ！　彬良くん！
気づけば、足は走り出していた。

マンションにたどり着いてドアを開けたら、もう玄関に彼の靴があった。そういえば、もう定時に上がるって言ってたっけ。よろめきながら靴を脱ぐ。

「おかえり、そよか」
廊下の奥から、彬良くんがひょこっと顔を出す。