極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました
仕事を辞めて、彬良くんとニューヨークに行くと決めたけれど。さすがに一緒に出立というわけにはいかなかった。仕事の引き継ぎがあるし、ビザの申請もしなきゃならない。

会社と話し合って、退職は三ヶ月後ということになった。
毎日の業務、移住の準備、英語の勉強と、慌ただしい毎日を送っている。

大好きな仕事、お世話になったチームの人たちとの別れはやっぱり寂しくて。しゃべっているだけなのに涙ぐんでしまうこともしばしばだった。

「広報部は優秀なアシスタントを失っちゃうな〜」
北川さんがしんから残念そうに言ってくれた。

「そんな、わたしの代わりなんていくらでもいますよ」

「いやー、そよかちゃんのおかげで、いつも助かってたよ。ほらわたし左利きだから、そよかちゃんいつも書類をホチ留めするとき、わたしのはみんなとは逆側にしてくれて。小さいことだけど、そこまでやってくれる人ってなかなかいないもん」
と美奈さん。

そうそう、と香織さんも。
「外出してるあいだに、デスクとか電話とかいつも掃除してくれてたし。前は、パソコンは埃まみれで、受話器はファンデでべとべとなんて状態で仕事してたわ。疲れて帰ってきても、ピカピカのデスクと電話を見ると、あともう一踏ん張りって気持ちになれたものね」
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