極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました
第十章/Adagio - Allegro molto
四ヶ月後———

ニューヨーク・マンハッタン十六丁目。

「彬良くん、おはよう」

「おはよ、よく寝たー」

土曜日の朝。ウィークデイの疲れが出るのか、彬良くんの起床はいつもより遅くなる。休日はゆっくり体を休めてほしいから、先に目が覚めたら、わたしはそっとベッドを抜け出すようにしている。

「朝ごはん、なにがいい? アメリカンブレックファーストでも、日本の朝でも」

「じゃあお言葉に甘えて、ご飯にお味噌汁がいいな」

「うん、まかせて」

いそいそと白いご飯にお味噌汁、鮭の塩焼きとお漬物をテーブルに並べる。
とはいえ、お味噌汁はチャイナタウンで見つけた煮干しで出汁をとって、具といえばレタスなのがアメリカらしいというか。たとえば美味しいお豆腐を手に入れようと思ったら、高級デリで探さないといけなくて。あのお豆腐が、こちらではなかなか食べられない高級食材だ。

鮭は銀鮭じゃなくて、ノルウェーサーモンで、お漬物はキュウリを自分で浅漬けにしたもので。

やっぱり住む国が違うと、ちょっとした食事でも今までと同じというわけにはいかない。
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