極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました
彬良くんと手をつないで、街を歩く。

「人がいるところで、ストレートに愛情表現しても浮かないのが、アメリカのいいところだな。日本だとやっぱり照れくさいから」

そんなふうに言って、二人で出かけるときはいつも手をつないでくれる。
こうしていると、わたしは安心できるから嬉しくなって、ときどききゅっと握る手に力をこめる。そうすると、彬良くんがぎゅっと握り返してくれて。
そんな些細な瞬間が、実はいちばん幸せだったりする。

「彬良くん」
隣の彼を見上げてしゃべりかける。

「ん?」

「わたし今度、教えてもらったボランティアに登録してみようかと思って」

「うん、いいんじゃない」

ボランティアが盛んなお国柄だから、なんとボランティアのためのボランティア組織があって。住んでいる地区や使える時間やできること等々を登録するだけで、できるボランティアを紹介してくれる。
わたしみたいに英語が十分に使えなくても、例えば足が不自由な方のためのお買い物の代行とか、できる範囲で探してくれるのだとか。

話し相手といえば彬良くん、っていう状態はそろそろ卒業したい。そう思うようになってきた。
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