極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました
「美奈さんがこっちに来たとき、やっぱりすごく楽しかったし。友達っていいなあって」

Eurekaニューヨーク店の視察で、ひと月ほど前、美奈さんがこちらに出張でやって来たのだ。
もちろん連絡をくれて、半日ニューヨークの街を案内して、夜は彬良くんも交えてディナーを楽しんだ。

美奈さんからの、老舗料亭の瓶詰めの塩昆布と出汁パックという救援物資(?)の差し入れに、二人で大喜びした。ちなみに乾燥剤入りの保存容器にしまって、大事に使っている。

美奈さんと彬良くんはほとんど初対面だったけど、そこは同じ会社に勤めている同士。すぐに打ち解けて、彬良くんも久しぶりに日本語で通せる食事の席に、リラックスした様子だった。

各店舗の状況、共通の知人の近況などを話していると、「そういえば、マーケティングの三崎さんの噂って聞いてます」と美奈さんの口からその名が不意に出てきた。

二人とも無言で小さく首を横に振る。

「あの人、いま大変なことになってるみたいですよ」
と美奈さんがおかしそうに続ける。
< 199 / 205 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop